フィンランド教育の何が「すごい」のか

フィンランド教育といえば、2000年初期にPISAランキングで上位に躍り出たことで、有名になったのが始まりかと思われる。

フィンランドの歴史を振り返ってみると、これまでずっと、個によりそい、平等に、インクルーシブな教育をしてきたわけではないことが分かってきた。

聞かれることも多い、フィンランド教育の何が「すごい」のか、夫婦で会話をしてみた。
出た結論は「個をのばす関わり」。それは、ここ6年あまりで注力し取り組まれたと思われる。

主に小学校に関して、具体的な「個を伸ばす関わり」をあげてみる。

・ICT活用 電子黒板、タッチパネルで授業展開。1人1台タブレットも活用。

・phenomenon based learning 科目横断授業で個人の興味を引き出す

・小グループでの学習活動 通常クラスも25人以下な上、2つのグループに分かれて授業をおこなう

・yrityskyla(ウリトゥスキュラ)、Me & My cityともいわれる。日本でいうキャリア教育につながるプログラム。小6と中3で実施

・小学校から始まる選択科目の存在 小学校中学年 or 高学年で週2時間

・inclusive 多様な学習障害にもクラス内で対応

・peer teaching 教員が2人など複数で教える

・positive learning 個人の強みを引き出し、伸ばすツール活用

・表情カードで子ども自身がその日の最初と終わりに自分の感情を伝え、ネガティブな子にフォローする

・個人の進度に合わせた進度別グループでの学習

・アシスタントティーチャー(TA)がクラスにいることが多い


※地域や学校に運営が大きく任されているので、学校による違いあり。オウルで見たいくつかの学校や知人から・文献から情報収集した学校を参考にしている。


日本と同様、沢山のチャレンジをしてきたからこその今で、今もなお、これからの未知の未来で必要な力とは何か?国としても模索しながら、またその先で自治体、そして大きな裁量をもつ現場の先生たちが奮闘しながら、子どもたちと関わっている。

日本でも行われている取り組みに近いものもあるが、「個をのばす」という目的ではないこともあり、1つ1つの進め方は違うように感じている。

日本の教育のビジョンも明確に提示されているが、手段が直接的にリンクしていないものも多く、一貫していない印象がある。日本の教育の特徴は「これ!」と誰しもが伝えられ、感じることが出来るようになったら違うのではないかと思う。

どの学年のエリアにも、小グループや個別対応がしやすいような場が設けられている。教室の前のスペースがリラックスしながら学習したり、話したりする場になっている。

下の写真は、1,2年生合同で「恐竜」をテーマに学習する場面。大学院生の教育実習生が2人、これからのワークの説明をしている。この後は3人ほどのグループで活動していた。

たなか家 教育研究所 in Finland

フィンランドの大学院で教育を学ぶ妻と、情報配信・ツアー企画などをする夫のふたりで手掛ける教育研究所。様々な形で現地情報を交えての交流・調査など行います。

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