【日&フィン比較】フィンランドは原子力発電を増やしていくことにした

定期的に、夫婦で調べたいテーマを選び、日本、フィンランドの2国のデータを持ち寄って対話し、理解を深めていくことにしました。


初回は、エネルギー。昨今、気候変動対策、サステナビリティが世界中で話題になっています。日本でも長野県が最初に2050年ゴールに気候非常事態宣言(ゼロカーボン、カーボンニュートラル※1)を出しました。フィンランドは2035年までに国としてカーボンニュートラルを目指しています。日本とフィンランド、世界のエネルギー各国の割合については、1つ前のコチラをご覧ください。


原子力発電の推進に見る、日本とフィンランドの自然に対する考え方の違いを見てみました。

フィンランドでは今後、原子力発電所を増やすことが決まっています。建設中、建設予定のものがあります。日本の世論の動きとしては、震災をきっかけに原子力発電を減らしていこうという声が大きくなっています。

世界中で原子力発電の減少が叫ばれる中、なぜこの判断をしたのでしょうか。

●原子力発電を投入する主なメリットとデメリット

メリット

ー安定して大量の電力供給が可能

-経済的な合理性(発電量当たりの燃料単価が安い)  

-環境負荷の軽減 (CO2排出量が少ない)


デメリット
-毒性の高い放射性廃棄物がでる(最終処分地確保の問題も)

-放射線の厳しい管理が必要

-危険性の高さは他の発電方法とは比べものにならない


●フィンランドの原子力発電の捉え方

環境負荷の軽減。リスクは許容できる。

→環境を完全に目的としておいている。

フィンランドは、核ごみを地層処分することを決定し、進めている。地質調査で10億年以上動いていないとわかっている地層へ処分することは安全に限りなく近いと考えられての判断。

●日本の原子力発電のとらえ方

経済的合理性。(←ここが主)

環境負荷の軽減。リスクに関してはあいまい。

エネルギー自給率の拡大。

→経済合理性を目的としておいている。また、ほかの理由も併せてあいまいな印象。(資源エネルギー庁HPより)日本も核ごみの処理を進めてはいるが、今後青森・茨城の倉庫に保管してあるのみ。世界有数の地震大国である日本では、フィンランドのような、地層処分のリスクはあまりに高すぎる。つまり、今後も地震という大きなリスクがあるにもかかわらず、地震発生で起こる放射能汚染、核ごみ処分の問題への判断をそのままにしているといえる。


●まとめ

日本はまだまだ経済的な合理性を追求している傾向がぬぐえない。今、私たちが考えるべきは何なのだろうか。目先の経済的な合理性?それとも短期的かつ長期的な安全性?日本は、CO2排出をする化石燃料による火力発電をなくし、日本の地理的環境上リスクがとても高い、原子力発電を減らしながら、バイオマス発電や天然エネルギー発電を増やしていく方向に何としてでも向かっていけないものか。

原子力発電の大きな2つのリスクは、「放射能」「核をふくむ廃棄物処理(10万年かかると言われる)」。その必要性として説かれている3点「経済合理性(電力の価格上昇を防ぐ)」「温暖化対策」「安全保障(自給率UP)」のうち後者2つは、再生可能エネルギーを増やすことで対応可能だ。太陽光発電への補助で再生可能エネルギーがここ数年で伸び、震災で原子力発電をゼロにすることが一瞬でもできた。もちろんその際に火力発電に負担があったことなどはあるが、長期的に原子力発電をもっと減らす策を考えねばならない。いまこそリスクに本気で向き合っていかねばならないときだと思う。



世界中でこの数年、気候変動対策が急激に進行しています。常に情報は変化していきます。ドイツなどでもメルケル首相が動いています。引き続き、世界の国々の対応にアンテナを張っていきたいと思います。


こちらは2020年1月8日時点の情報です。また、あくまで私たちによる、データからの読み取り、解釈、意見です。


※1 カーボンニュートラル
バイオマスは燃焼すると当然CO2を排出しますが、もともとそのCO2は植物などが成長する過程で、大気中から吸収したものであり、トータルとしてCO2の量は変化しないという考え方です。つまり、大気→植物→大気 となるので、もとに戻るだけということになります。化石燃料も同じようにCO2を排出しますし、もとはといえば、古代の植物や動物が変化したものです。

ただし、これは数億年も前に吸収されたCO2であり、現代の大気に放出することは、太古の昔に封印された二酸化炭素を現在の大気に放出して、CO2を増やしているということになります。バイオマスは、現在の大気中のCO2を吸収し、現在の大気に放出されるのでCO2の実質の増加にはつながらないということです。(みるみるわかるEnergyより)


参考)
長野県 気候非常事態宣言 -2050ゼロカーボンへの決意 2019.12
https://www.pref.nagano.lg.jp/ontai/climateemergency.html

みるみるわかるEnergy 図解でみるエネルギーのしくみhttps://www.sbenergy.jp/study/illust/biomass/

経済産業省・資源エネルギー庁 2011 (少し古いですね)
「平成22年度エネルギーに関する年次報告」第1,2節
https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2011html/1-2-2.html

10万年後の安全―「信頼」と「責任」の意味 原子力発電環境気候(NUMO) 産経ニュース
https://www.sankei.com/special/numo2016/article-1.html

川内原発の再稼働が必要な4つの理由-もたらされるリスクと利益 産経デジタルhttps://ironna.jp/article/1914

【エネルギー】世界各国の発電供給量割合[2017年版](火力・水力・原子力・再生可能エネルギー) 2018/02/14
https://sustainablejapan.jp/2018/02/14/world-electricity-production/14138

バイオマス発電とは?仕組みや将来性に迫る 2018.3
https://www.softbank.jp/energy/special/shizen-denki/column/vol-005/

未来車-ミライノクルマ- 原子力発電の仕組みとメリットデメリット 2019
https://mirainokuruma.com/denki/atomic.html

Total energy consumption fell by 6 per cent in January to September 2019.12
https://www.stat.fi/til/ehk/2019/03/ehk_2019_03_2019-12-20_tie_001_en.html

Nuclear Power in Finland(Updated July 2019)
https://www.world-nuclear.org/information-library/country-profiles/countries-a-f/finland.aspx

たなか家 教育研究所 in Finland

フィンランドの大学院で教育を学ぶ妻と、情報配信・ツアー企画などをする夫のふたりで手掛ける教育研究所。様々な形で現地情報を交えての交流・調査など行います。

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